今年は沢山本を読みたいので,毎月どれくらい読めたかの確認も兼ねて月次で読んだ本の紹介でもつらつら書こうかと。
というか今月は親にカミングアウトしたり飲みで最大級の醜態かましたり仕事も色々山があったりと人生史上稀に見る精神押し潰されキャンペーン月間だったのですがなんとか今日も生きております。泣きたい。
さて本の紹介です。今月は2冊だけだけど。
■蜜蜂と遠雷(恩田陸著) ★★★★★
音楽とは,麻薬だ。
聴く人々の心をいとも簡単に揺り動かし,打ち上げ,振り落とす。
聴く人ですらそうなのだから,それを演ずる人々はもっとそうだ。
3年に1度のピアノコンクールを中心に繰り広げられるこの物語は,異質な才能と共に現れた天才少年・風間塵や,一度は神童と呼ばれながらピアノを止めてしまった栄伝亜夜といった,ピアノに人生を捧げる人々が織りなす青春群像劇。
一度ピアノに囚われた人は,決してそれが生み出す絶頂の感覚から逃れることはできない。苦しくて悔しくて,絶望して,でもしがみついて。魂を燃やしながらピアノに食らいついていく登場人物の姿がまぶしかった。
決して天才だけの物語ではなくて,努力型の「凡人」である高島明石が組み込まれていたのも,自分にとっては救いだった。
作中で弾かれた曲を同時に聴きながら読んでいたらすごく楽しかった。特に気に入ったのはサン・サーンス「アフリカ幻想曲」,バルトーク「ピアノ協奏曲第3番Sz.119 第3楽章」,ドビュッシー「喜びの島」の3曲。
■観察の練習(菅俊一著) ★★★☆☆
21_21 DESIGN SIGHTの「単位展」「アスリート展」に関わった菅俊一の初単著。物事の切り取り方というか,視点の置き方がすごいなあ,と思っていて買った本。
表紙の装丁から結構凝っているというか,判型も単行本にはほとんどないA6版だし,鰐皮みたいな加工してるし上に題字がへこむようにラミネート加工みたいなの上にかぶせてるしいくら使ってんだ贅沢すぎだろ!という感じで装丁マニアにはたまらない(?)感じの本です。
中身は中身で,あの展示の視点を習得するためにはこういうふうに物事を見ているんだなあ,という菅さんの考えが読めてよかった。単一の者を見ているつもりでも,人によって見方が同じだったり違っていたりして,面白いよね。
今月は3冊は読みたいけどいけるだろうか。いける気もする。なんとか。