いつかヒトになるためのレッスン

人生いったりきたり。

銭湯の話

落ち込むことがあると銭湯に行くようになったのは,いつからだったろう。

 

仕事でなにかミスをしてしまったとき。謝らなければいけないところでちゃんと謝れなかったとき。何かやらかしてしまって,迷惑をかけたとき。精神的にすり減ることがあったとき。

まず浴槽につかってから全身を洗って,あとはサウナか熱い風呂に入るのと,水風呂に入るのを繰り返す。だいたい3,4往復すると満足して,最後にぬるめのお風呂に入ってから風呂を出る。そうすると,だいたいスッキリした気分になる。

 

サウナや熱い風呂に入っている時は「熱い」と思っていれば済むし,水風呂に入っている時は身体が冷たくなった反動で頭がぼうっとして,やっぱり何も考えなくて済む。それを何回か繰り返すと,強制的に悶々とした気持ちを頭から追い出すことができる。

ただこれって,ただ一旦落ち着くための応急手当であって,風呂に入ることで根本の問題が解決するわけではない。やらかした仕事のミスはそのままだし,謝れなかった事実は変わらないし,かけた迷惑が煙のように紛れて消えてしまうわけでもないのだ。

 

人生にリセットボタンはない。

一度起きたことは,なかったことにはならない。

同様に人生は数式ではないので,プラスの出来事とマイナスの出来事があった時にそれらが相殺されてプラマイゼロ,なんていうこともない。

ただプラスの出来事がひとつと,マイナスの出来事がひとつある,というだけだ。

それらをぜんぶひっくるめて背負いながら,少しでもマイナスが増えるのを防ぎつつ,プラスをもっと増やせるように生きていくしかない。

 

でも,どこかで気持ちを立て直さないといけないときはある。

だから,風呂に入った後に思っていたいのは「明日からまた頑張ろう」であって,「ああリセットされた,よかった」ではない。

明日からまた,頑張ろう。