いつかヒトになるためのレッスン

人生いったりきたり。

「ゲイであること」を外に言ってもいいことにした

こんばんは。はじめまして。

一発目のエントリからこんなことを書くのもなんですが,わたし,ゲイです。

そしてあるめぐり合わせがありまして,このGWに初めて自分からゲイでない人に自ら自分がゲイだとカミングアウトをしました。

このブログを始めるにあたって,少し経緯を記しておきたいと思います。

 

田舎ゲイが都会に立つまでのあらすじ

ゲイといっても,一応見た目上は一般社会に紛れ込んでそれと気づかないような格好をしています。女装して街を歩いたりとか,オネエ言葉で常に喋ったりとかもしてません。(実際,ゲイとオネエは一応定義が異なる存在なのですが,そこら辺区別がつかない人がいる気もするので一旦一緒くたに「ゲイ」としておきます)

 

自分がゲイであるという自覚をもったのはもうずっとずっと前の子供の頃でした。ので,自分はずっと自分の恋愛指向を他人に偽りながら生活してきました。

AV女優の話が話題にのぼっても話に入れない,キャバクラや風俗には全く興味がない,挙句に男女カップルの話を聞いていて切なくなる始末,とくれば,もはや自分に一般と同じ恋愛を通過する,などという選択肢はありませんでした。一応女子と付き合ったこともありはしましたが,どれもこれも不完全燃焼に終わりました。

どうしても自分がゲイだとバレたくなかったので(どうせ誰も理解してくれないと思っていたから),息をするように嘘をつきました。関わりたくない話題については全力でスルーしました。高校時代はスクールカースト上位の人達が毎日話題にしている恋愛の話とか,イケメンと美女の甘酸っぱい会話とか全力スルーである文化部の部室に引きこもってました。まあ,そこで結構楽しいオタクライフが遅れたので後悔はしていませんが。

 

そんな調子で大学まで地方暮らしだった自分は幸運にも,東京で働くというチャンスを得ました。「やった!これでマイノリティだった自分のことを分かってくれる人がたくさんいるであろう大都会で生活できるぞ!」と期待に胸をふくらませていました。

ただ,東京に行ったら全部解決されるかと思ったら,全然そんなことなかったんです。

 

人付き合いがまともに出来ない人はどこであってもうまくいかない

東京にいる「いわゆるゲイ」には,いろいろと(めんどくさいくらいに)コミュニティが存在しています。よく話題に出る新宿二丁目での付き合いであったりとか,趣味の付き合い出会ったりとか,あるいはネット上での付き合いであったりとか。

なんとかそのコミュニティに入ろうと,勇気を出して二丁目の飲み屋にちょこっと入ってみても最初のうちはまともに喋れず,自分は何をしに行ったのだろう…と思って帰ってくることがほとんどでした。

それらの何が原因かって,自分がゲイだからとかそういうことでは全然なくて,単純に人と直接コミュニケーションをとるのがとても苦手だったからでした。

もちろん昔からコミュニケーションは苦手ではあったのですが,そのときは「自分はゲイだからこの人達とは考え方が違うんだ,だから話をしてもうまくいかないんだ」という言い訳が最終的にできていました。自分がコミュニケーション不全なのを性的指向が人と異なるせいにしていたんですね。

なので結局原因が自分のコミュ障にあることに気づいた時にちょっと唖然としました。今まで自分が信じてきた盾が,実はただの紙だと気づいてしまったのです。

 

外見を変えるだけでは,コミュ障は脱出できない

そう考えていた就職したての私は「あっこれ思ってたのと違う」と判断して,結構自分なりにコミュニケーションに気を使うようになりました。他人の話題についていけるように周りの人が好きなものを密かに調べたり,好きになろうと努力したり,ちょっとおしゃれに気を使ってみたり,見た目を良くするために身体を鍛えてみたり…。

ただこれも全く正解なわけではなかった。

 

ある程度はゲイ社会でも対応できるようになってきたんですが,これもやっぱり外見だけの改造でした。性格的なコンプレックスまで克服出来たわけではなかったのです。

ゲイにもやっぱりカースト的なものがあって,てっぺんあたりにいる人は性格も人当たりもよく,頭もよく優秀で見た目も良い。

おんなじなんです。自分が学生時代に指をくわえて見ていたリア充とおんなじ。

外見も重要ではあるけれど,人間として人を惹きつける魅力があって,キラキラ輝いていて,そんな内面を持っている人が一番楽しそうにしているのです。 

それはゲイでも,そうでなくても,全然変わりませんでした。

そして,どうしたら変われるんだろう,どうしたらこの内面もっとマシにできるんだろう,ってずっと考えて,最近ようやくひとつ覚悟を決めることにしました。

ゲイであることを理由にしないコミュニケーションの状況をつくってみよう,と。

 

理由があるかぎり,僕は逃げ続けるだろうから

今の自分はマイノリティであることを盾にして,甘えて,望んでいる人間関係が構築できていないことの言い訳を作っています。だから,一旦今まで嘘をつきながらも仲良くしてきていた友人に対して,この言い訳を使えなくすることにしました。

その結果が,冒頭に言ったカミングアウトだったのです。

正直,カミングアウトした相手がそれを告げたとしても受け入れてくれるであろうことに,ある程度の確証を持ってはいました。ただ,それでも今までは言えなかった。カミングアウトするその一言で,今までの人間関係が全部逆転しちゃうんじゃないかと怖かったんです。でも大丈夫だった。

もちろん,それだけでも僕の心に大きな安心を得ることができました。

でも,ここからが本番なのです。

ゲイであることを理由にできない関係になったときに,自分が本当に相手と向き合えるかどうか。

自分でも,自分のことを回りくどくて,面倒くさくて, 的はずれなことばかりしている存在だと思っています。

でも,それでも自分は自分の人生を諦めたくないから。放棄したくないから,立ち向かうようにします。 

それでもし本当に,本当の本当に,骨の髄まで駄目だと悟ってしまったら。

その時は,海の藻屑になっているかもしれません。